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CHa-Ki 的思考回路
2012年03月21日:東京湾大津波の「想定」について考える
大震災から1年以上が経ち、記憶が薄れていく人、異常なまでの地震・津波想定をする人の差がどんどん大きくなる気がします。
私は幸か不幸か惨状を目の当たりにしてしまったので、ベンジャミン・フランクリンじゃないけど忘れられない出来事です。
さて、東京湾というと、どこを想像しますか?
下の地図の三浦半島の観音崎と房総半島の富津岬を結んだ線(青線、幅約6.5km)の北側、または三浦半島の剱崎と房総半島の洲崎を結んだ線(赤線、幅約21km)より北側の海域。気象庁の津波予報区としては青線の内側区域を「東京湾内湾」としています。右図は千葉県防災会議の議事録にある内湾の境です。気象庁の内湾の境界のさらに内側です。
要するにとても「あいまい」な区域の話をしているわけです。「東京湾内湾」なんて言葉がテレビから聞こえたことがありますか?
下の地図の赤線部分の最深部は約700mもあり、大島など伊豆七島が申し訳程度の防波堤になるにしても、ここまでは、新幹線並みの速度で大津波が襲ってくるでしょう。
そして、相模湾は岩手・宮城のリアス式同様、奥が狭まった「湾」です、千葉県では富津から南、神奈川県の三浦などでは非常に高い津波になることが容易に予想できます。赤線内を東京湾と言うならば、10mはかなり低い見積りですが、青線内で10mということだと尋常ではなくなります。
さて、ここで、2点について考えます。
その1 鎌倉の大仏殿流出事件
高徳院の古文書「鎌倉大日記」によれば、(明応7年、1498年の明応東海地震で)大仏殿に津波が至ったと解釈できる部分があり、その時に大仏殿が流されたという言い伝えもあることから、首都圏、鎌倉近郊に住む方々はこのことを信じていらっしゃると思いますし、マスコミの常識になっています。
1.大仏は、由比ヶ浜から約800mあり、海抜で11.8mの場所。
2.大仏殿が流されるということは、津波は海抜をはるかに越えているはず。
従って、その記録が事実なら海岸から800m内陸まで数m以上の津波が押し寄せたことになり、由比ヶ浜では20mを越える津波であったと思われます。
鎌倉に30mを越える津波が押し寄せたことを否定することはできません。
しかし、明応地震以前に露座になっていたという史料もあるし、そもそも「鎌倉大日記」の記録では、「明応4年(1495年)、水勢入大佛殿破堂舎屋」と記載されていて、明応東海地震が起こった明応7年の3年前です。このことから、洪水など他の水害で大仏殿が壊れたのではないかとする学者もいます。

その2 多摩川のゴミに高い放射線事件
国土交通省関東地方整備局は3月19日に多摩川河川敷に放置されたゴミ付近で2.52マイクロシーベルトの放射線量を計測、シートで覆うなどの応急処置をした結果、0.46マイクロシーベルトに低減した。
という新聞記事です。国の機関が放射線量の測定方法も知らないのか!いい加減にしろ!(※1)ということは棚に上げて、というか、上記新聞記事に疑問を持った方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?「そうだよね。どっかの学校でもブルーシートで覆って応急処置してたもんね」と思ったでしょう。
話を元に戻しましょう。3.11では木更津市で2.8mの津波を観測しています。当日はたまたま潮位が低かった(95cm)のですが、当日の満潮の1.7mの時だったとすれば、4.53mだったわけで軽く防潮堤(3.7〜4.1m)を越えます。東京湾内津波安全神話が崩壊した瞬間です。
今回の震災では、あらゆるところで「不幸中の幸い(※)」に助けられているような気がします。
先に出た千葉県防災会議では、内湾の境(富津岬)で10mの津波を想定しています。この根拠を知りたいのですが無理でしょうね。
10年以内に来るだろう、関東大震災Uと東海地震(南海、東南海の連動も含め)を想定しているのでしょうけど、関東大震災型は10m以上、東海地震型は15m以上の予想が一般的です。
AERAによれば、M9で、水害被害を防ぐための堤防や防潮堤、水門が強い揺れですべて壊れたという最悪の場合を前提にすると、2.4mの津波で東京湾沿岸が水没するとしています。
※茨城県の東海第二原発もメルトダウン寸前、津波があと80cm高ければ日本が終わっていたという事実を伝える記事でしたが、残念ながら削除されました。
ところで、東京湾内湾の面積はおよそ1000km2(平方メートルをm2と書きます)。ざっくり考えましょう。
ここに3mの津波が押し寄せるということは、概ね湾内の水位が3m上昇する(波が来るという考え方だと理解できない。水の上下運動と考えなければならない)ということで、面積1,000,000,000m2に3を掛ければ、その総量は3,000,000,000m3、富津岬は海抜が低いので、神明山(66.4m)から観音崎までの湾口の幅13000mで割れば幅1mあたり約23万トン(海水の比重は無視)。
平均的津波周期を100kmと仮定すれば、50kmで割れば良いので、外洋で4mの高さが必要になります。
水量から逆算すればこれが原資になります。
外洋で4mの高さの津波が新幹線の速度で上地図の赤線まで押し寄せてくるとすれば、おそらく富津あたりで10mの高さでは到底収まらない、最低でも30m以上に…東京湾で3mの津波とはそういうことで、木更津のように共振や回り込みで一部地域で異常に高くなることを除けば、リアス式海岸と逆の、入口が狭く奥が広い海域での津波(水位の上昇)はとても考え難いことになります。これが東京湾内津波安全神話です。
鎌倉や沼津で30mを越える津波が押し寄せたという記録もあるようですが、想定外を無くすことにやっきになって、本末転倒の結論を強引に導いたり、誤った判断をしてしまう危険性も考えなければならないとも思います。あつものに懲りてなますを吹くようなことにならないことが大切だと思います。
あんまりな情報を流せばかえってオオカミ少年になりかねない…正しく怖がることを忘れないよう、真実は何かを突き止めるために日本人全ての英知を集めて動き出すべき年が始まりました。
ある人が言っていましたが「1000年もの長い間、海山の幸をいただいたので、1回だけ津波に持っていかれました。って考えないとやってらんない」。
1000年の間多くのことをガマンして耐えて、津波に備えて、1000年後に良かったね!って思えるかどうか…今回の教訓は「命を守る」ことに尽きると思います。
原発を除けば「元に戻れる」はずです。
横浜の山下公園は関東大震災のガレキを埋めて作られました。日本には復興に向かう強大な底力があります。
全国が協力してガレキ処理をして、近々来るだろう「北海道南東沖地震」「関東地震」「東南海地震」への万全の備えを進めつつ復興元年となって欲しいと願うだけです。
初出のベンジャミンの言葉です。
愚か者の第一段階は自分をよりよく見せようとする事である。
第二段階はそれを他人にしゃべることである。
最終段階は他人の考えを馬鹿にすることである。
肝に銘じたいと思います。
※1:ガイガーカウンターはガンマ線だけ計測するように作られています。ガンマ線は鉛板や厚い鉄板に遮へいされますが、アルミニューム板程度なら通過してしまいますので、ブルーシートで覆ったくらいでガンマ線の量が極端に変わることはありません。従って、この局員は測定器をゴミに近づけてベータ線(ストロンチウムなどから発せられる放射線)も同時に計測しているので、正しい測定結果になっていません。わかりやすい数値を見たいために、間違った数値と理解したうえでベータ線も計ってみることは悪くないと思いますが、それを正しい測定結果と混同することに大きな間違いがあります。
ベータ線を計れるとうたった測定器もありますが、これは、ベクレル表示だけで、シーベルト換算はしません。それは、アルファ線、ベータ線は皮膚から体内に取りこまれる可能性が低いためです。αβは内部被曝に関して注意すべきであり、空間線量には含めないのが正しい測定方法です。ただ、今回のニュースではベータ線が測定されたことが推測されるので、そこにはストロンチウムがある可能性が高くなります。その確認のためにあえて正しくない使用方法で計測したとするならOKでしょう。
一般論としては、セシウムがあるところには同量のストロンチウムも存在するという考え方をしています。従って、原発の作業現場のような場所以外での外部被曝だけを考えればベータ線の計測はあまり意味がなくなります。
※多くの市区町村で1cm、50cm、1mの測定結果を公表していますが本当は上記です。「子どもの背の高さで測る」なんていうのは完全に間違い。
ただ、これだけはハッキリさせておくべきなので、間違っても勘違いが無いように書いておきます。芝生や砂場で寝転がる子どもを考えれば、汚染された埃を吸い込むなど何らかの形で体内に取りこまれる可能性が高く、内部被曝には厳重な注意を払うべきです。尚、福島で皆が着ている白い防護服は放射性物質が体に付いたり、内部被曝を防ぐためのものです。放射線を遮へいする能力はありません。

尚、新聞のニュースをできるだけ原文に近く、正しい記事にするとこうなります。
国土交通省〜中略〜ゴミ付近で正しい計測方法ではないが、測定器を近づけたところ、高い放射線量を計測したため、シートで覆うなどの応急処置をした結果、ベータ線が遮へいされ、毎時0.46マイクロシーベルトに低減した。補足:通常の許容範囲は毎時0.114マイクロシーベルト(年間1ミリシーベルト)。
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