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CHa-Ki 的思考回路
2012年08月02日:高齢者の山の事故
警視庁の平成23年度山岳遭難の概況(何故か削除されてしまいました)によれば、
過去5 年(平成19年から平成23年)の山岳遭難統計を分析したところ、全遭難者の約5割、その中で死者・行方不明者は、約7割が60歳以上の高齢者。その理由として、
1.近年の登山ブームを反映し、中高年層の登山の機会が増えた
2.体力の衰え等に伴い、天候の急激な変化等、各種トラブルへの対応能力が相対的に低下している
等が考えらる。
※数字を間違えないように、警視庁のPDFの一部を抜粋しています。
さらに付け加えておきましょう。(私見です)
山の遭難は約7割が下山中。頂上までに体力を使い果たし、下山時の余力が無い。結構良くあるパターンで特に高齢者の場合は若いころの体力を維持していると勘違いして、実力以上のハイペースで登りきった頃には体力を使い果たし、本来、危険の多い下山時に、踏ん張る余力が無く滑落や転倒してしまう。
私も10代の頃はテント・シュラフ担いで山の中走っていましたが、40代以降は決して無理せず、草や木を見て普通にお話ししながら登れるペースで、多分、10代の頃の10倍の時間を掛けて、登山中のどの場所からでもゆっくり歩いて3時間以内に車や駅に戻れるところにしか行かなくなりました。
そして、夏山でも防寒着とレインウエア、非常食、水系は持っていきます。某山岳会などでは、残りの水が2リットルを切ったら遭難と思え!としているようですが、前記の理由と、機材で10kgを越えるので、私は500mlを目安にしています。
確かに夏なら500mlなんてアッと言う間です。なので、夏山はほとんど行きません(笑)。
そんな中でも、30分~1時間程度の山歩きで一度も「ハア、ハア」することなく、雲海が広がる光景を何度も目にしています。
日本にはそんな場所がたくさんあります。
私は10代の頃、原則人間嫌い。山も単独が基本でした。北八ツ~南八ツ縦走も、ヤビツから塔ノ岳~丹沢~蛭ヶ岳縦走も、黒部欅平~清水岳(しょうず)~白馬も1人でした。
当時の山行記録を読むと「クレージー」な行動に苦笑します。
最近まで南八ツは縦走した記憶はあるけど、北は無いよね?という、うろ覚えでしたが、北からだった!・・・記録ということはスゴイことだと思い知らされます。
さらに笑っちゃうのが、なんでそんなマイナーな山ばかり選んだのか…。
記憶をたどったり、当時の記録を読むと、どうも、ヤマケイガイドに記載されている標準時間をどれだけ縮められるか?に主眼が置かれていたようです。自分のことですが、かなり昔なので断言できません。待たされることへのイラつきが随所に見られ、メジャーな山向きじゃあなかったみたいです(笑)。
メジャーと言えば、世界最高峰のエベレストに、農業を営んでいる渡辺玉枝(73)がギネス挑戦で登ったようです。
酸素ボンベ1本を背負える体力があれば、あとはシェルパや廻りが助けてくれる、金が全てを制する部分です。
昭和45年、日本山岳会がエベレスト初登頂に成功しましたが、そのときの資金は1億円でした。現在に換算すれば倍くらいでしょうか・・・。
私が暇さえあれば山にこもっていた頃、憧れだった超人ラインホルト・メスナーのように単独・無酸素登頂ならそれほどお金もかからないでしょうが、入山料+装備で1人あたり240万円(旅行会社に依頼する場合※)必要です。
※現地で自分で工面すれば、約40万円の入山料で済みます。
マスコミが絶賛しているギネス新記録ですが、本当にそうでしょうか?
自分の無茶・無謀のためにどれだけ周りを命の危険にさらしているか・・・。
今年のGW、白馬岳登山中に63〜78歳の男性医師ら6人のパーティーが、爺ケ岳で62歳の女性、涸沢岳で71歳の男性が低体温症などで死亡しました。救助隊の無いエベレストはたくさんの遺体が残されたままですが、日本では、何とか助けよう、見つけようと捜索が行われます。二次災害の危険もあるわけで、無謀な高齢者の無茶な行動によって捜索隊の命まで危険におとしいれていることに気付かないことは、装備云々以前の問題ではないでしょうか?
マスコミが73歳のエベレスト無謀登頂を絶賛することによって、「俺も私も・・・」と無謀登山~遭難が後を断たないようなことになると、いよいよ真面目な高齢者の肩身が狭くなります。
私は登山・撮影時の遭難救助費用保険(500万円)に入っています。
保険と言っても、入院や死亡保険ではなく、遭難救助のためだけの保険です。
1回くらいならヘリで救助されても大丈夫なように用心しています。
用心しているうちは遭難しないと思ってますので、まさに「ホケン」です。
石橋を叩いて、裏から見て、横から見て・・・みたいな感じですか。
さて、本題(長い前フリでした)です。
NHK「ホリデードキュメンタリー」で昨年9月に放送された『憧れの大岩壁~75歳の挑戦~』の話です。
69歳で岩登りを始めて、75歳でろくに技術も経験も無いまま南アルプスの甲斐駒の大岩壁ダイヤモンドAフランケに挑んだ河西公子婆を描くという超クレージーな話です。
後でわかった話で申し訳ありません。追記します。
6月8日、宝剣岳で岩登りの練習をしていた諏訪市の河西公子さん(76)が滑落して負傷したと同行の男性から駒ヶ根署に通報があった。
河西さんは県の防災ヘリコブターで伊那市内の病院に運ばれたが、約3時間半後に死亡が確認された。
とのことです。謹んでご冥福をお祈りいたします    2016年10月追記
この番組の語りを務めた俳優の滝田栄も会員のエンドレスGチームという60歳以上が参加資格の岩登りチーム。
驚くことに、河西婆は6年間岩登りをしてきてアブミを使ったことが無い(驚!何かのマチガイだろう!)。10mの人口壁を登れない・・・あのぉ、Aフランケって350mあるんすが・・・
実はこの無謀クレージー登山を仕切っていたのが、このAフランケ赤蜘蛛ルートを開拓した井上進。日本を代表するクライマーが作る計画ぢゃあ無いと思うんですが・・・。
もしかすると、「初踏破した僕ちゃんが、主体となって女性最高齢の初踏破も!」
大義名分があると、全く見えなくなってしまうんですね。目標に向かうことしか考えずに、後へは引けない、強行するしかないが、それを自分では強行だとは思わない・・・。歳をとるほどその感覚が強くなる・・・。
無茶・無謀な挑戦は、最後の数十メートルを手も足も使わずに3人の爺に引きずり上げられた様子からもわかりますし、河西婆の最後の言葉「完登と言わせてください」にも良く現れています。
クレージーな4人がどうなろうと知ったものではないんですが、万が一の時に救助に向かう人たちにケガや事故があると気の毒でなりません。
3.11でNHKの信用は地に落ちましたが、やはり「NHKが放送するんだから」という感覚はまだあると思います。
このクレージーな爺婆を美談のように描くのは、NHKが多くの爺婆を山で遭難させて、高齢社会を打破しようとしてるからですね。
インターネットでもこの番組は絶賛されています。
これもひとえに、爺婆の遭難を増やそうとしている日本若返り作戦の一環ですので、ご高齢の方はご注意ください。
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