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CHa-Ki 的思考回路
2003年5月18日:翻訳ソフトと日本人の日本語
翻訳ソフトを使ったことがありますか?

例えばこんな会話。
「昨日、いなかったじゃない。どこ行ってたの?」
「ああ、チョット調子が悪くて病院行ってたんだ。」

多分、日本人なら普通の会話。
100%理解できると思います。
ところが、翻訳ソフト(最近のものはチャンと翻訳してくれるかも)ではグッチャグチャになります。

正しく翻訳していただくためには、
「昨日、あなたは家に居なかった。あなたはどこへ行っていたのですか?」
「私は、少し体調が悪かったので病院へ行って先生に診てもらいました」
と書かないと上手く翻訳してくれない。
(「ああ」は後でwellでも入れるようにあえて抜かす)
 
ここで、最も注意するべき点は「主語が抜けている」ということ。
日常会話では主語抜きは日本人の得意技。

ほとんど抜けていると言っても過言ではないと思います。
逆に主語を入れると、高飛車な(強い)態度を示すことさえあります。

「昨日、俺が言ったこと・・・」
「昨日言ったこと・・・」

というのでは随分ニュアンスが違うようです。
翻訳ソフトでは前者のように書かなければなりませんが、日常会話だったら、かなり強い口調に聞こえます。
 
映像の世界では主語を抜くのは「相当の理由」が必要です。

例えば、ミステリーであえて誰がやったかわからなくしたり、後でわからせてより強調するなど特殊な(作者の意図がハッキリしている)状況です。

映像は面と向かった対話ではない一方通行ですから、画面に向かって聞き返すことができない。
このへんはとても重要なポイントです。
何が何だかわからない場合、この主語抜きの映像になっていることが多いようです。

ところが、誰が何をしたという明快な説明は(「究極の3カット構成」で詳しく書いています)、まだるっこいこともあり兼ね合いの難しいところ。
逆に言えば、この「兼ね合い」がウデの見せ所なのかもしれません。

ディレクターは文系のほうが向いているのはこのへんに理由があるようです。
正しい日本語を話せる(書ける)ことが最低限の条件であり、当然のことながら、カメラマンにも同じことが言えます。
まっ、半クエ(半クエスチョンの略。語尾上がり調の会話。「あの〜、昨日?横浜?みなとみらい?21?へ行ったんだけど・・・」みたいな)連発しているようではチョット・・・

 
先日、ある番組に車椅子の方が出演されていました。
若い女性です。
かなり難しい内容の番組でしたが、何年振りでしょうか、美しい日本語を聞いたのは。
的確な表現、正しい発音と言い回し、ほれぼれするような日本語でした。
見習いたいものです。

私もあちこちで講義をしていますが、1日中しゃべっていると何日間に1度くらいは、つい半クエになってしまうことがあり、本当に恥ずかしいと自分を戒めます。

チョット前になりますが、マナー研修に来られた某社の先生がビジネスマナーを半クエ連発で講義して下さったんですが、今の日本ではそのほうがフツウなのかも。
 

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