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撮影 Rule.009 「望遠と広角レンズの使い分け」 
ご存知の通り、レンズにはそれぞれ焦点距離というのがあって、何mmと表示されています。

ところが、撮像素子(CCDやCMOSなどのイメージセンサー)の大きさによって表示がまちまちになり、分かりにくいので、通常「35mm換算」という書き方をします。
※本サイトでは特に表記がない場合は焦点距離mmの中に「35mm換算」が隠れていると思っていただいて結構です。

多くの人たちが慣れ親しんだ35mmフィルムカメラの焦点距離に換算するもので、例えば、
APS-Cなら1.5倍(キヤノンは1.6倍)
マイクロ4/3なら2倍
放送用2/3インチなら約4倍

めんどくさいけど、これは覚えなきゃ仕方ない。
 
人の目と同じような「遠近感」のものを標準レンズ。
おおむね40~55mmくらいを標準と言っています。

それより焦点距離が短いものを広角レンズと言いますが、昔はあまり中途半端なものが無かったので、28mm以下の焦点距離を言い、24mm未満を超広角、15~16mmを対角線魚眼、8mmを魚眼としています。
35mmは標準とも広角とも言えない微妙なレンズです。

長いものを望遠レンズと言います。
80~105mm程度のものを特に中望遠と言い、別名ポートレートレンズと言われるくらいに人物撮影に使いやすいレンズです。
これは、適度な被写界深度を持っていて、ボケ味をコントロールし易い、さらには被写体との適度な距離を保てることに起因します。
150mmを超えると望遠、300mmを超えると超望遠の部類に入りますが、今は、300mm400mmは当たり前なので、500mm以上じゃないと超望遠とは言わないという方も多いと思います。
 
映像の場合は九分九厘ズームレンズを使うので、望遠か広角かという区別はあまりありません。
私が使っているのは
FUJINON HA-18x7.6BERM
ですので、
おおむね30mm~550mm f1.8 Ext.60mm~1100mm

30~1100mmまでを自由に使えるので、望遠にレンズ交換して・・・みたいなことはなく、早く確実に撮影できるようになっています。
全域でMOD(最短撮影距離)が60cm、マクロも使えます。
また、小型化されていて、この性能で重さ1.6kgしかありません。

望遠系はほぼ、これ以上必要なことは稀なのですが、広角は欲しい時があります。
その場合はショートズーム(広角系のズームレンズ)を使います。
HA14×4.5BERMなら18mm~160mmまでOKです。
 
Column
これを読んでいる方は、少なくともプロ意識の高い方だと思うので、一つだけ注釈しておきます。
すでに映像業界は写真から流入してきた人たちがほとんどなので、写真的にビデオを撮りたいというご要望が絶大で、放送用機材を使うのはごくごく稀です。
したがって、放送用2/3インチカメラなど触ったこともない方に席巻されているわけで、唯一35mmの利点である「被写界深度の浅さ」を誇示することが彼らのステータスとなります。
実は被写界深度を決めるポイントは3つあり、そのうちの1つが撮像素子の大きさです(撮像素子の大きさ=焦点距離としています)。
しかし、実は、放送用レンズは上記のような性能なので、確かに200万円以上という高額ですが、それに見合った被写界深度を含めた細かなコントロールができます。
写真用高級レンズとの比較を見てみます。
レンズ名 焦点距離 f値 MOD 万円
EF400mm F4 DO IS II USM 単焦点  400mm 4 3.3m 90
EF400mm F2.8L IS II USM 単焦点  400mm 2.8 2.7m 125
FUJINON HA-18x7.6BERM 30-1100mmズームの400mm 1.8 0.6m 200

今は、メーカーが先陣を切って業務用1/3インチカメラ(放送用は2/3インチ)との比較でフルサイズのメリットを誇示しているので、多くのアマチュアの方たちがその扇動に流されていますが、実は、映像制作で最も効果的(※)なのは放送用のレンズであることは疑いの余地がないのです。
まっ、使ったことがなければわからない話ではあるのですが・・・
 
※MOD、開放F値の明るさと無段階絞りリング、メカニカルのズーム倍率などほぼ全てにおいて
 
本題です。
望遠と広角の違いはなんでしょう?

画角の違い・・・5点かな。
数学的な答えで、カメラマンとしての答えにはなりません。
 
遠近感(パースペクティブ)の圧縮と誇張・・・80点かな。
かなりイイ線です。

アマチュアの方は
1.遠くのものを大きく写す・・・望遠
2.近くのものを広範囲に写す・・・広角
と考える方が9割かと思いますが、実は、遠くのものを大きく写すというのは、まず、「自分が近づく」というのは基本のキです。
どうしても近づけない場合はレンズに頼るという考え方ですね。

遠近感を表現する手法は様々ですが、一番手っ取り早いのがこれ。
圧縮したければ望遠レンズ、誇張したければ広角レンズを使うというのが正解。
※遠近感の表現方法はまた別項で詳細に書きます。
では、100点は?
 
実は、上記、写真では100点ですが、映像という範ちゅうでは80点なのです。

圧縮と誇張というのは映像(動くもの)で考えると、遠近感=速度とも言えます。
動かなければ速さも何もないのですが、車、電車、飛行機・・・と動くものについてはこの「速度」を考慮します。
もちろん、人が歩いてくるのも「速さ」が関わることは当然です。

圧縮=低速、誇張=高速ということも頭の片隅に置いておきましょう。
 
次回:「閑話:Intermission」
 
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